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Q&A編
障害者虐待防止センターについて、各地方自治体や関係者からお寄せいただいた質問と、PandA-Jからの回答を掲載しています。 
Q1 基準該当事業所は、障害者虐待防止法が定める「障害者福祉施設従事者等」に該当しますか?
Q2 障害者虐待防止法では、障害者福祉施設に関しては、都道府県や中核市・政令指定都市の権限等の行使がなされるとありますが、教育・保育・医療に関してはどのようになるのでしょうか?
Q3 養護者からの虐待のケースで、A町在住の人が虐待を受けてB市へ逃げてきた上でB町障害福祉主管課へ虐待の届出をした場合、B市としては、届出の受理や初動対応などをする必要があるのでしょうか。
Q4 都道府県から福祉施設(特に緊急一時保護を担う入所施設)へ受入れの協力要請をすることを検討しています。どのような進め方が考えられるでしょうか。
Q5 「市町村障害者虐待防止センター」という名称は、必ずこのようにつけなくてはならないか?
Q6 身体・知的障害以外の方については、「身体障害者又は知的障害者とみなして」身障法・知障法の措置規定を適用するといった規定がありますが(法9条2項)、「みなして」というのは、どのような行為や判断を経て行うべきなのでしょうか。
また、「みなす」という行為は初めてのものなので、国で判断基準などを定めておくべきではないでしょうか。
Q7 法は、障害者基本法における「障害者」の定義(1.心身の機能の障害があり、かつ2.障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者)を採用していますが(法2条1項)、判断にあたって窓口では混乱や不統一が起きそうです。
例えば機能障害(要件1)の判断においては、診断まで求めるべきでしょうか。それとも、とりあえずは相談を受けるという解釈でよいのでしょうか。
Q8 65歳以上は、高齢者虐待防止法と障害者虐待防止法のどちらも使えるという仕切りになっていますが、この点、各自治体ではどのように整理されているでしょうか。
当事者にとってどちらの法律を使った方がよいのかという視点で考えるべきかと思いますが、そうすると、受入れ資源や相談資源が豊富な高齢に偏りがちになるかなという気もしており、それで良いのかという疑問もあります。
Q9 18歳未満の場合、養護者への支援は障害者虐待防止法でもとあります。しかし、虐待を受けている児童が障害児でない場合には、その親がメンタル上の問題を抱えていても、障害者虐待防止法での対応は必要ないと解釈してよいでしょうか。
Q10 市町村虐待防止センターについて、24時間365日の対応が必要であっても、実情では難しい自治体もあります。その場合、必ずしも24時間365日対応としなくても良いのでしょうか。
Q11 都道府県の役割として法36条2項2号が定める「市町村が行う措置の実施に関し、市町村相互間の連絡調整……その他必要な援助を行うこと」のうち、「市町村相互間の連絡調整」とは何を指すのですか。
Q12 法9条は、緊急時に施設入所するために、措置の適用を行うべく規定しています。この際に、措置でも契約でもなく、厚生労働省マニュアル記載のように独自に一時保護という枠組みを設ける場合、施設へ支払う費用は自治体が独自に定めてよいのでしょうか。また、どのように設定することが望ましいですか。
Q13 法律上の義務ではありませんが、既存の虐待ケースについては、法施行前に緊急性や支援計画を整理し、虐待ケース管理台帳のようなものを作成する必要があると考えています。もっとも、虐待防止センターでの受理行為を経ないケースを、虐待防止法のケースとして管理してよいのかという疑問があります。
Q14 虐待を受けている児童が障害児でない場合には、その親がメンタル上の問題を抱えていても、障害者虐待防止法での対応は必要ないと解釈してよいでしょうか。
Q15 施設における虐待事例で、施設所在地と、利用者の住所地等が異なる市町村にまたがる場合、どちらがどのように対応するべきでしょうか。
Q16 高齢者虐待の場合と同様に、障害者虐待防止センターや相談支援事業所などの職員が、情報収集や事実確認などの前さばきをし、市役所へ連絡する仕組みを考えています。このような仕組みは、障害者虐待防止法上は問題ないのでしょうか?
Q17 障害者防止センターにはどれくらい電話がありますか?休日・夜間に、市へ連絡する必要があるのは何件ぐらいですか?
Q18 関係機関との連携が気になります。警察、人権擁護委員(法務省)、学校幼稚園(文部科学省)、保育園(厚生労働省)、児童や老人の行政機関、弁護士会、労働行政へ厚生労働省からの周知はしているのでしょうか。
Q19 「施設従事者」による虐待について、事態の終結に向けてイニシアティブを持つべき機関は、都道府県と市町村のどちらですか。「養護者」・「使用者」と異なり国のマニュアルに記述がありませんが、これは、両者の権限が異なるため、ケースに応じて対等の関係で判断していくべきということでしょうか。
Q20 法9条の措置入所を行えない場合のために、厚労省マニュアル記載のように、独自に一時保護という枠組みを検討しています。この場合、何を根拠に行えばよいのでしょうか。
Q21 就労継続A型での虐待はどのような扱いとなりますか?

Q1 基準該当事業所は、障害者虐待防止法が定める
「障害者福祉施設従事者等」に該当しますか?
A (根拠)
障害者自立支援法第30条第1項第2号「支給決定障害者等が、指定障害福祉サービス等以外の障害福祉サービス(次に掲げる事業所又は施設により行われるものに限る。以下「基準該当障害福祉サービス」という。)を受けたとき。」により、基準該当障害福祉サービスは「指定障害福祉サービス等以外の障害福祉サービス」となり、同法第5条第1項に規定する「障害福祉サービス」に含まれるので、基準該当事業所に従事する職員は「障害者福祉施設従事者等」に該当します。

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Q2 障害者虐待防止法では、障害者福祉施設に関しては、都道府県や中核市・政令指定都市の権限等の行使がなされるとありますが、教育・保育・医療に関してはどのようになるのでしょうか?
A 障害者福祉施設での障害者虐待に対する権限行使は、障害者虐待防止法で行うのではなく、社会福祉法及び障害者自立支援法の規定によって行われます。また、教育、保育、医療に関しても、それぞれに対応した法律により権限が行使されます。従って、任意の通報により事実確認をした結果、虐待や体罰が認められた場合は、各法が規定する主体が適切に権限を行使することになります。

教育については、学校教育法で体罰が禁止されており、教育関係の諸法規により指導されます。
医療については、例えば、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律で、精神科病院での「行動の制限」についてや、必要な措置の命令が規定されています。 保育については、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準で虐待等の禁止などが規定されており、基準が守られていない場合、児童福祉法により権限が行使されます。また、設置主体が社会福祉法人の場合は、社会福祉法の規定により法人に対する権限が行使されます。

なお、上記の対応は障害者虐待防止法を根拠に行うものではないので、障害者虐待防止法の施行前であっても適用されます。

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Q3 養護者からの虐待のケースで、A町在住の人が虐待を受けてB市へ逃げてきた上でB町障害福祉主管課へ虐待の届出をした場合、B市としては、届出の受理や初動対応などをする必要があるのでしょうか。
A 基本的には、住所地のA町が対応することになります。B市に対応の義務はありません。
仮にA町が事実確認もしない場合には、虐待防止法に規定する責務に反することになります。現実的にA町が対応しない場合は、都道府県障害者権利擁護センターに届出することも考えられます。(ただし、決して望ましいことではありません)

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Q4 都道府県から福祉施設(特に緊急一時保護を担う入所施設)へ受入れの協力要請をすることを検討しています。どのような進め方が考えられるでしょうか。
A 明確な正解はありませんが、まず虐待防止法の施行に関する説明があり、各施設に担っていただきたい役割を示し、その上で受入れの協力要請をする流れが想定されます。もちろん、都道府県主催の説明会などにより、これらを一度に進める方法も考えられます。

少なくとも、協力要請する時点で、各施設が

・ 虐待防止法の施行について理解している
・ 各施設の担うべき役割が認識されている

という2点が不可欠と思われます。

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Q5 「市町村障害者虐待防止センター」という名称は、必ずこのようにつけなくてはならないか?
A 法律上、この名称を使うことは明確に義務づけられていませんが、障害者や地域住民からみて法に基づく虐待の相談・通報の窓口であることが明確に分かるように、「市障害者虐待防止センター」又は「県障害者権利擁護センター」という名称を掲げることが望ましいと考えます。

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Q6 身体・知的障害以外の方については、「身体障害者又は知的障害者とみなして」身障法・知障法の措置規定を適用するといった規定がありますが(法9条2項)、「みなして」というのは、どのような行為や判断を経て行うべきなのでしょうか。
また、「みなす」という行為は初めてのものなので、国で判断基準などを定めておくべきではないでしょうか。
A まず、「みなす」手続きについては、各自治体で段取りを定めておくことが必要になると思われます。措置規定を援用する場合は必ず緊急一時保護を要するときですので、緊急対応の是非を判断する段階で手帳の有無も確認して、手帳がない場合、あるいは手帳はあっても精神保健福祉手帳だった場合に、どの職(あるいは合議体)によって「みなし」を判断するのか、事前に定めておくことが望ましいと思われます。
ただし、この場合で注意したいのは、次の質問にも関係しますが、身体的な障害があることを「みなす」場合です。2011年に障害者基本法が改正され、障害者の定義が「障害者身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態」の人と変更されていますので、身体障害の場合でも「手帳がなければ身体障害ではない」とは言い切れない点には十分留意してください。

また、児童虐待・高齢者虐待は対象が年齢で明確化されていますので、ご指摘のとおり、いわゆる「みなし」の規定は障害者虐待防止法に特有のものです。
法的には、障害者虐待防止法の定義(=障害者基本法による障害者定義)に照らして「みなし」を運用することとなりますが、基本法における定義が現場での運用という意味では明確といえませんし、本来的には基本法の趣旨を踏まえて個別法における「障害者」を定義する法体系になっていることを考えると、PandA-Jとしても、国が障害者虐待防止法における「障害者」定義の詳細(ガイドライン)を示すべきと考えています。

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Q7 法は、障害者基本法における「障害者」の定義(1.心身の機能の障害があり、かつ 2.障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者)を採用していますが(法2条1項)、判断にあたって窓口では混乱や不統一が起きそうです。
例えば、機能障害(要件1.)の判断においては、診断まで求めるべきでしょうか。それとも、とりあえずは相談を受けるという解釈でよいのでしょうか。
A ご指摘のとおり、虐待防止法の趣旨を考えれば「とりあえずは受ける」という対応が必要になると思われます。ただし、昨年の改正障害者基本法により、理念的には素晴らしい前進が見られた反面、個別法ごとに、基本法の概念を取り入れた障害定義が求められるようになりました。
今回の虐待防止法は、改正障害者基本法の定義をダイレクトに反映させた最初の法律になりますので、一定のガイドラインがないと自治体ごとに「対象とすべき障害者」がぶれてしまう可能性があります。現時点でそのようなガイドラインがないため、市町村ごと(あるいは都道府県ごと)に考え方のすり合わせをしておくことが求められますが、本来は国が示すべきものですので、これについては、PandA-Jとしても国へガイドライン化を求めていきます。

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Q8 65歳以上は、高齢者虐待防止法と障害者虐待防止法のどちらも使えるという仕切りになっていますが、この点、各自治体ではどのように整理されているでしょうか。
当事者にとってどちらの法律を使った方がよいのかという視点で考えるべきかと思いますが、そうすると、受入れ資源や相談資源が豊富な高齢に偏りがちになるかなという気もしており、それで良いのかという疑問もあります。
A 65歳以上の障害のある人が養護者から虐待を受けている場合は、ご指摘のとおり高齢者虐待防止法であっても障害者虐待防止法であっても対応は可能です。この場合、既に高齢者虐待に関する虐待対応体制は各自治体で構築されていることと思いますので、高齢福祉部門と連携を取って対応を図ることが求められます。
具体的な進め方としては、65歳以上の虐待通報は高齢福祉部門で一括して対応し、ご本人に障害があることが判明した時点で障害福祉部門がチームに加わる…などの方法が考えられます。

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Q9 18歳未満の場合、養護者への支援は障害者虐待防止法でもとあります。しかし、虐待を受けている児童が障害児でない場合には、その親がメンタル上の問題を抱えていても、障害者虐待防止法での対応は必要ないと解釈してよいでしょうか。
A 虐待を受けている子どもがいて、その要因が保護者のメンタルな問題にあるとすれば、子ども自身に障害があってもなくても保護者への支援(児童虐待防止法では指導)を要することは明白です。
これについても、上記と同じく、既に児童虐待に関する虐待対応体制は各自治体で構築されていることと思いますので、児童福祉部門と連携を取って対応を図ることが求められます。
具体的な進め方としては、児童虐待の通報は児童福祉部門で一括して対応し、子ども自身に障害がある、または虐待の要因として保護者のメンタルな問題が想定されることが判明した時点で障害福祉部門がチームに加わる…などの方法が考えられます。

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Q10 市町村虐待防止センターについて、24時間365日の対応が必要であっても、実情では難しい自治体もあります。その場合、必ずしも24時間365日対応としなくても良いのでしょうか?
A 「24時間365日」を明示的に求める法令等はありません。また、市町村虐待防止センターを設置するための特別な予算措置もありませんから、市町村の人員配置や財政状況によっては、24時間365日の対応が高いハードルとなってしまう可能性があります。
ただ、虐待防止法第4条では、地方公共団体に「虐待を受けた障害者の迅速かつ適切な保護」や「必要な体制の整備」を求めています。さらに第35条では、市町村へ「養護者による障害者虐待に【いつでも迅速に対応する】ことができるよう、特に配慮しなければならない」と定めています。こうした法の規定からは、厳密に24時間365日の対応までは求められないとしても、できる限り「いつでも迅速に対応する」ことができる体制を整えることが求められます。仮に平日の勤務時間のみ対応する虐待防止センターとなった場合は、違法とまではいえませんが、非常に不適切であるといえます。
また、先行している児童虐待、高齢者虐待の通報受理体制はどうなっているでしょうか? おそらく、24時間365日対応が基本になっているはずです。その場合、障害分野だけ「平日の勤務時間のみ対応」というわけにはいきません。もちろん、市町村だけでは対応が難しい面もあると思いますので、都道府県の支援も大切となります。広域対応なども含めたバックアップが求められます。

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Q11 都道府県の役割として法36条2項2号が定める「市町村が行う措置の実施に関し、市町村相互間の連絡調整……その他必要な援助を行うこと」のうち、「市町村相互間の連絡調整」とは何を指すのですか。
A 市町村が障害者虐待防止への様々な措置を行う中で、都道府県が市町村相互間の調整をする必要がある場合の連絡調整を指します。例えば、虐待事件によって廃止届けが出されたグループホーム・ケアホーム入居者の次の居住の場を、市町村をまたいで探す場合などが考えられます。

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Q12 法9条は、緊急時に施設入所するために、措置の適用を行うべく規定しています。この際に、措置でも契約でもなく、厚生労働省マニュアル記載のように独自に一時保護という枠組みを設ける場合、施設へ支払う費用は自治体が独自に定めてよいのでしょうか。また、どのように設定することが望ましいですか。
A 「独自の一時保護」という枠組みを設けるとした場合には、専用居室の確保や障害福祉サービスを用いない独自の一時保護契約などが想定されます。
前者の場合は、年払いまたは出来高払いによって専用の部屋(ないしはベッド)を確保する方法が考えられますが、一般論として出来高払いで部屋・ベッドを確保することは難しいことから、年払いで部屋・ベッドを確保した上で、その金額の中で一時保護をあわせて実施していただくか、あるいは別途一時保護にかかる費用を支弁する方法が考えられます。
後者の場合は、短期入所用の居室・ベッドを活用して出来高払いで運用することが想定されます。これは、施設・事業者への一時保護委託方式の場合も同様です。
ただし、「独自の一時保護」である以上、支弁する費用は市町村の独自予算により(短期入所の単価などを勘案して)設定することになりますし、「独自の一時保護」のために確保された居室において自立支援法の短期入所を実施することはできなくなると思われます。こうした課題があることから、現実的にはやむを得ない措置による短期入所で対応する自治体が大半を占めると思われます。

また、障害者の入所施設の場合だと、居室のベッドを「独自の一時保護」用として施設と自治体が契約して使用することになると思いますが、その場合、居室を自立支援法上の障害者福祉施設の居室以外の目的として使用することになります(目的外使用)。しかし、指定基準上居室は目的外の使用が認められないため、届出上の定員を1名減員してその分を市町村が行う独自の一時保護の居室に充てるか、居室以外のふさわしい場所に一時保護用のベッドを置くなど、指定基準に抵触しないよう慎重に検討する必要があります。支払いの問題だけで整理できない事はご留意ください。

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Q13 法律上の義務ではありませんが、既存の虐待ケースについては、法施行前に緊急性や支援計画を整理し、虐待ケース管理台帳のようなものを作成する必要があると考えています。もっとも、虐待防止センターでの受理行為を経ないケースを、虐待防止法のケースとして管理してよいのかという疑問があります。
A 既ケースであれ、新ケースであれ、虐待が認められるケースならば、障害者虐待防止法が施行される以上は市町村(都道府県)として把握すべきケースとなりますので、既ケースがある市町村(都道府県)においては、現段階から法に基づく対応を整理する必要があると思われます。
もちろん、急を要する場合には法施行前であっても「やむを得ない措置」などの既存制度を活用して一時保護などを実施することが望まれます。

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Q14 虐待を受けている児童が障害児でない場合には、その親がメンタル上の問題を抱えていても、障害者虐待防止法での対応は必要ないと解釈してよいでしょうか。
A 虐待を受けている子どもがいて、その要因が保護者のメンタル上の問題にあるとすれば、子ども自身に障害があってもなくても保護者への支援(児童虐待防止法では指導)を要することは明白です。
これについても、上記と同じく、既に児童虐待に関する虐待対応体制は各自治体で構築されていることと思いますので、児童福祉部門と連携を取って対応を図ることが求められます。
具体的な進め方としては、児童虐待の通報は児童福祉部門で一括して対応し、子ども自身に障害がある、または虐待の要因として保護者のメンタル上の問題が想定されることが判明した時点で障害福祉部門がチームに加わる…などの方法が考えられます。

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Q15 施設における虐待事例で、施設所在地と、利用者の住所地等が異なる市町村にまたがる場合、どちらがどのように対応するべきでしょうか。
A まず、通報があった場合の初動については、ご指摘のとおり「通報を受けた市町村」(A市)が対応することになります。
その後の対応については正式な取扱いが国から示されると思われますが、虐待を受けてしまった人を保護するという観点から考えると、仮にA市が施設所在地の市町村だった場合は、概要を聞き取った段階で「虐待を受けてしまった人がお住まいの市町村」(B市)へ引き継ぐ運用が適当と思われます(当該施設の利用を中止して他の事業所を利用する調整などは、B市が責任を負うため)。
ただ、そのような事態が起きてしまった施設が所在するA市として、事実を知った以上は看過できないと思われます(その市町村からも多くの方が利用しているはずです)ので、B市や都道府県と連携して事実確認・訪問調査を行うことが望ましいと考えます。

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Q16 高齢者虐待の場合と同様に、障害者虐待防止センターや相談支援事業所などの職員が、情報収集や事実確認などの前さばきをし、市役所へ連絡する仕組みを考えています。このような仕組みは、障害者虐待防止法上は問題ないのでしょうか?
A 高齢者虐待防止法と障害者虐待防止法は、枠組みの共通点は多いものの、比較すると違いは明確です。お尋ねの件については、以下のとおり条文上の整理ができます。

高齢者虐待防止法
(事務の委託)
第十七条 市町村は、高齢者虐待対応協力者のうち適当と認められるものに、第六条の規定による相談、指導及び助言、第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一項に規定する届出の受理、同項の規定による高齢者の安全の確認その他通報又は届出に係る事実の確認のための措置並びに第十四条第一項の規定による養護者の負担の軽減のための措置に関する事務の全部又は一部を委託することができる。

障害者虐待防止法
(市町村障害者虐待防止センターの業務の委託)
第三十三条 市町村は、市町村障害者虐待対応協力者のうち適当と認められるものに、前条第二項各号に掲げる業務の全部又は一部を委託することができる。

※ 市町村障害者虐待防止センターの業務の全容は、「養護者、障害者福祉施設従事者等、使用者による障害者虐待に関する通報又は届出の受理」「養護者による障害者虐待の防止及び養護者による障害者虐待を受けた障害者の保護のための相談、指導及び助言」「障害者虐待の防止及び養護者に対する支援に関する広報・啓発」です。

比較していただきますと、高齢者虐待防止法では「高齢者の安全の確認その他通報又は届出に係る事実の確認のための措置」が委託可能となっているのに対し、障害者虐待防止法ではその旨の規定がないことをご確認いただけるかと思います(あくまでも通報や届出の受理が委託対象です)。
したがいまして、仮に安全の確認や事実の確認を「前さばき」とするならば、障害者虐待防止センターや相談支援事業所などにそれらを業務として委託することは、法律上想定されていないため、情報収集や事実確認などのいわゆる「前さばき」は、市町村が直営で行う業務になる・・と考えられます。
ただし、通報・届出を受理した後、コアメンバーによる会議を開いた上で対応方針を協議し、訪問調査などについては、通報・届出があった障害者や養護者と日頃から関わりのある相談支援事業所や障害福祉サービス事業所の職員に同行してもらう方がより信頼関係が構築できて有効であるとしたならば、連携して安全の確認や事実の確認を行うことは重要であると思われます。

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Q17 障害者防止センターにはどれくらい電話がありますか?休日・夜間に、市へ連絡する必要があるのは何件ぐらいですか?
A どれくらいの電話が入るかは、自治体の規模や虐待防止センターの連絡先をはじめとする障害者虐待に関する広報周知状況などに左右されるため、残念ながら一概にお答えできません。

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Q18 関係機関との連携が気になります。警察、人権擁護委員(法務省)、学校幼稚園(文部科学省)、保育園(厚生労働省)、児童や老人の行政機関、弁護士会、労働行政へ厚生労働省からの周知はしているのでしょうか。
A 関係機関との連携は大変重要です。厚生労働省からの周知は当然行われますが、ぜひ、各地域における連携体制を構築してください。
相談支援関係者(相談支援事業、民生委員、障害者相談員など)や障害福祉サービス事業者、社会福祉協議会、医療関係者(地域の医師会、中核病院)、法曹関係者(市町村の顧問弁護士、地域の弁護士会、司法書士会、行政書士会など)、労働関係者(労働基準監督署やエリア内の企業団体など)、警察(所管警察署)などの外部組織だけでなく、市町村内の高齢福祉や児童福祉、DV被害対応部署などの庁内組織との連携体制も重要です。

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Q19 「施設従事者」による虐待について、事態の終結に向けてイニシアティブを持つべき機関は、都道府県と市町村のどちらですか。「養護者」・「使用者」と異なり国のマニュアルに記述がありませんが、これは、両者の権限が異なるため、ケースに応じて対等の関係で判断していくべきということでしょうか。
A ご指摘のとおり、通報受理を担う市町村と、事業所指導権限を行使して虐待行為(あるいはそのリスク)の是正の責任を担う都道府県が相互に連絡を取り、必要な情報(市町村であれば虐待を受けてしまった人への支援状況、都道府県であれば事業所に対する指導状況)を交換し、その後の対応の方向性、事案終結の判断などを話し合うことになるのだろうと思います。そして、その結果として「ここでいったん終結にしましょう」というコンセンサスが得られれば終結になる・・というイメージです。

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Q20 法9条の措置入所を行えない場合のために、厚労省マニュアル記載のように、独自に一時保護という枠組みを検討しています。この場合、何を根拠に行えばよいのでしょうか。
A 障害者虐待防止法に基づいて居室を確保する場合には、確保する施設が障害者自立支援法という別の法律で事業認可されている点に注意が必要です。
すなわち、自立支援法で事業認可されている以上、原則として自立支援法事業として占用されるべきエリア・時間については他法での利用が認められない可能性があります。生活介護事業所の場合、事業所指定を受けているエリアを開設時間中に虐待防止法の居室として確保してしまうことは望ましくありません(開設時間以外の夜間であれば問題ないと思われます)。また、生活介護事業所が主に身体障害のある人を受け入れている場合、知的・精神障害のある人への支援が十分にできず、虐待による緊急一時保護をしているにも関わらず、保護先で不当な支援を強いられるリスクを残すことになりかねません。その点でも、可能な限り近隣市町村所在の施設も含めて、緊急時の受入れについて協定を結んだり協力依頼をしたりする必要があります。
なお、独自の一時保護については、虐待防止法第10条を根拠として、市町村の事業実施方法に応じて(直営施設であれば直営なりに、外部施設への委託であれば委託なりに)事業実施要項を定める方法が考えられます。

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Q21 就労継続A型での虐待はどのような扱いとなりますか?
A A型は福祉サービスなので、基本的には支援事業所(支援者)の虐待になります。ただし、虐待の内容が就労条件に関する部分に当たる場合には、会社(使用者)の虐待に当たる可能性はあります。

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